2015.02.03更新

流山法律事務所の弁護士の川越伸裕です。

 

日本には、余り良く知られていない、マイナーな法令がいくつもあります。

勉強や仕事をしていると、ときどき、このようなマイナーな法令に出会うことがあります。その中には、マイナーとはいえ、皆さんの日常生活に深く関係している法令もあったりします。

 

例えば、「年齢計算に関する法律」という法律があります。

年齢の数え方ですから、皆さんの生活に深い関係がある法律ですが、その内容を皆さんは、ご存じないのではないでしょうか。

 

年齢計算に関する法律は、次の3項から成っています(原文はカタカナ)。

1 年齢は出生の日より之を起算す

2 民法第143条の規定は年齢計算に之を準用す

3 明治6年第36号布告は之を廃止す

 

この法律は、皆さんが年を取る日が、「誕生日の前日の午後12時(24時)」であることが定めています(理屈はちょっと難しいので置いておいてください。)。

例えば、2月5日生まれの方は、法律上、2月4日の午後12時(24時)に年を一つ取ることになります。

 

なお、2月4日の午後12時(24時)と、2月5日の午前0時とは、同じ時間を指しているようですが、法律解釈上は、違う日であるとしています(法律のよくわからないところです。)。深く考えると、よく分からなくなりますので、余り深く考えない方がいい部分です。

 

ところで、よく、「2月29日の閏年生まれの人は、4年に一度しか年を取らない」と冗談で言われることがありますが、上記の法律解釈からすれば、この冗談が誤っていることが分かりますね。

2月29日生まれの人は、法律上、2月28日(の午後12時)に年を取るからです。

 

むしろ、4年に1度しか誕生日が来ない人は、3月1日生まれの人、と冗談を言った方が正しいのかも知れません(2月29日午後12時は4年に1度しかないため。)。

 

ちなみに、4月1日が、いわゆる「早生まれ」とされている理由も、4月1日生まれの人が年を取るのが、3月31日(の午後12時)であるからです。

 

もう一つ、具体例としては、「選挙権」が挙げられます。

選挙で投票できるのは、20歳以上ですが、投票日の翌日が誕生日の人も、投票をすることができることとなっています(期日前投票は、できません。まだ19歳ですから。)。

 

誕生日の前日に、年を取るという観点からすれば、誕生日の前日に投票日が決められれば、当日に投票することができるのは、当たり前ともいえます。

 

…しかし、誕生日の前日の午後24時に年を取るのであれば、投票時間中はまだ19歳なのであって、投票権はないはずである、とも考えられますよね。

ここも深く考えると、よく分からなくなってくる部分です。

取りあえずは、判例と公職選挙法の解釈により、誕生日の前日の投票が許されている、とお考えいただければと思います。

投稿者: 流山法律事務所

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